弊社は探偵社ですので、調査の一度ご依頼をお請けした事がある依頼者の方から、再度、調査の依頼が来る事は多々あります。
一度、依頼をしているわけですから、依頼するまでの一連の流れは認識しているはずなのですが、「事態が変わってしまったので、今すぐに夫の調査を行ってもらいたい!」
突然『今すぐ調査を!』と言われても、依頼のための契約を締結してないので、弊社としても動くことはできません。
調査を開始できるのはあくまで契約書を交わしてからの話になりますから、「今すぐに調査を!」と言われても調査を行うには調査を行う人員の確保もしなければならないですし、車での調査の場合車両の確保も必要になってくるのです。
一度依頼を頂いている方ですから、融通を利かせて上げたいのは山々ですが、出来る事、出来ない事はあります。
この依頼者は1年前に旦那と離婚の話になっており、旦那は仕事の都合で遠距離に居た為、依頼者は旦那の行動が全くわからないといった状況だったんですが、何とか自分に有利な材料を欲しいという事で依頼を請けた経緯があります。
一回目の依頼の時は、短期間の調査だったの為、依頼者の有利になりそうな材料は全く出てこなかったんです。
自分に有利な材料を欲しがっている。という事で調査依頼をお請けしたわけですから、依頼者も旦那との離婚に応じて出来るだけの財産の確保を目的としているものと考えていいようです。
「事態が変わってしまったので、今すぐに夫の調査を行ってもらいたい!」という要求に弊社としても応じる事は出来なかったんですが、元依頼者切羽詰まっていたんでしょうね。
翌日に契約書を交わしに遠方から弊社に来社されたんです。
話を伺うと、「私としては諦められる一因にしたいという気持ちと、養育費も払おうとせ女性関係が激しいのであれば父親として認めませんし、子供にも会わせたくないので、私が結婚した相手がどういう人間か?新しい女がどういう相手なのか?を具体的に知って、旦那に対する気持ちを冷めさせたいと思っています。因みに旦那は養育費を払いたくない為に、他県にビルを建設しローンがあるので養育費は払えないと言っているようなんです。旦那は昔から女遊びが酷いんです」
別居して1年弱、他に異性の影があってもおかしくない期間ではありますけど、今回も1週間の調査依頼になります。
弊社としても、依頼を頂いた以上全力で、依頼者の有利になるような情報を得たいと思うわけですが、一週間で旦那の引越し先も判明させなければならないですし依頼者にとって、有利な材料が判明するのかは定かではありませんし、調査期間が短いことは否めません。
1週間の契約で、旦那の住居を判明させ、あとは依頼者の要望通りの時間帯に旦那の行動をチェックしていたんですが、他の女と会っている様子がありません。
契約終了2日前になるんですが、深夜になって依頼者から連絡がきました。
「友達に旦那の自宅を見に行ってもらったんですが車で出かけたようです。女と会うんではないですか!?今すぐ見に行ってもらいたいのですが!」
自分に有利になるための材料が中々見つからないので、依頼者も業を煮やしたんでしょう、深夜に友達を使って旦那を監視していたんです。あくまで友達は旦那と同じ地域に住んでいると依頼者は言い張ってましたが。
しかも旦那が深夜に出かけたとなれば、何か確かな確証を得る事ができるんではないか!?と思ったんでしょう。
予定外の時間であり、しかも深夜になって今すぐ調査員を派遣して欲しいと言われても無茶な話で、人員を手配するので少し時間を下さいと伝えると、依頼者はヒステリックに感情を爆発させます。
「依頼者の気持ちに全く寄り添ってくれないんですね!全く依頼者の気持ちなんてわかってないと思います!」
突然の連絡にもかかわらず時間を下されば手配しますから少しお待ちくださいと申し上げているにも関わらずですよ?
全く自分の意に沿わなかったり、思い通りにいかないと、すぐに怒りの感情を表に出す人はいますが、依頼者は典型的なタイプです。
この依頼者は以前も、契約書を交わす前に突然、今日調査をお願いしたい、と言ってきた過去もあり、いつも後手後手なんですよ。
何度も何度も、車両、及び調査員の確保が必要なので、尾行や調査については事前にお願いしますと伝えているんですね。
今回も自分の友人を使って旦那の様子を伺い、たまたま旦那が動いてしまったため自分ではどうする事もできないから焦って深夜に無茶な事を言ってきたんでしょう。
すぐに、調査員を旦那がいる現地に向かわせました。現地に一番近い調査員でも一時間はかかりますが、何とか旦那がいる場所に到着。場所は焼肉屋です。
調査員を店に潜入させました。女と入っている可能性もあるので、相手にばれないよう慎重に証拠写真も撮らなければなりません。
結果、一人での焼肉で、旦那一人で焼肉をほおばっておりました。
旦那がお店を出るまで張り込みをし、確認しましたが、旦那一人でお店を出てきて自宅に戻りました。
依頼者に報告で写真の提示と経緯をお話すると、「さっきはすみません。裁判が近づいていて気持ちばかりが焦っていました。何とか裁判に勝って養育費をもらいたいという気持ちが強かったかもしれません。申し訳ありませんでした…」
焦る気持ちは理解できなくもありませんが、自分の思い通りにならないから怒りの感情を我々に向けられても結果は変わりません。
今回の出来事を教訓に、怒りの感情をコントロールする術を身に付けることも依頼者の為になるのではないでしょうか?